北九州で美容室に関わるようになってから、
私は一気に、
経営の側へ振り切れました。
現場を見る。
数字を見る。
仕組みを作る。
頭を使えば、
回せる。
広げられる。
その感覚が、
はっきりと手応えとしてありました。
私は、
目標を一つ置きました。
実家の売上を超える。
家業を否定したいわけではありません。
父の仕事を軽く見るつもりもない。
ただ、
実家を出た時に自分のやり方で、
超えてやる。と思っていました。
年商、
億超え。
その数字は、
夢というより、
通過点のように感じていました。
事業は、
次々に立ち上げました。
美容室。
エステ。
飲食事業。
周辺のビジネス。
一社、
また一社。
気がつけば、
会社は
10社ほどになっていました。
振り返る余裕はありません。
止まる理由もない。
動けば、
結果が出る。
結果が出れば、
次に行く。
借入も、
投資も、
躊躇はなかった。
中学生の頃に見た、
実家の拡張。
改装。
レストラン。
名物づくり。
あの風景が、
そのまま、
自分の中で再生されていたのだと思います。
私は、
いわゆる
イケイケでした。
自信もあった。
勢いもあった。
周りも、
それを評価してくれていた。
寝る時間は少なく、
移動は多く、
常に何かを考えている。
苦しいという感覚は、
ほとんどありません。
むしろ、
生きている実感が強かった。
経営とは、
こういうものだ。
走り続け、
広げ続け、
結果を出し続ける。
その前提を、
疑うことはありませんでした。
この頃の私は、
止まることを
「後退」だと思っていました。
慎重になることを、
「弱さ」だと感じていました。
だから、
止まらなかった。
この時点では、
何も問題は起きていません。
数字は伸び、
会社は増え、
周囲からの評価も高い。
すべてが、
うまくいっているように見えていました。
ただ、
今振り返ると、
この時期には、
一つだけ欠けていたものがあります。
それは、
止まった時に残るものを
考える視点でした。
でも当時の私は、
そんなことを
考える必要がないと思っていた。
走っている限り、
すべては前に進む。
そう、
本気で信じていました。